2021/12/15
こんにちは。川崎市幸区南加瀬の犬の学校デルタの佐々木です。
今回はデルタのドッグトレーニングの考え方について書かせて頂きます。
犬のことを考えたトレーニングとは
犬のことを考えたトレーニング。とても当たり障りのよい?言葉です。
どんな飼い主様でもワンちゃんのことを考えていますし、彼らに幸せになって欲しいと願っています。
しかしトレーニングの相談というのは「吠え声がうるさいから。どうにかしたい。」「噛むから、噛まないようにして欲しい」というものが多いのが現状です。
吠えることはマンションでもとても大きな問題ですし、万が一他人を噛んだら一大事であることも理解できます。
ですが、そこにワンちゃんの気持ちは含まれているでしょうか?
私たちは問題をまずこう考えます。
「彼らはなぜ吠えているのだろうか」「なぜ噛まなければならなかったのか」と。
吠える、噛むという行動はワンちゃんにとっても労力を使うものです、しゃべれないワンちゃん達のいわば最後の手段です。
犬は人間ほど頭が良くなく、嫌がらせたい、からかってやろう、などという高度な知能は持ち合わせていません。
必ずそれらの行動には恐怖や不安といったシンプルな原因があるはずです。
それらを見つけ、解決していくことが何よりも大事だと考えています。
他のトレーニングとの違い
多くのトレーニングでは犬の行動の修正を行います。
犬が吠える→吠えないためのトレーニングを行う
犬が噛む→噛まなくするトレーニングを行う。
これは飼い主様の要望に沿ったものですが、残念ながら上記に書いたように犬の気持ちが考えられているとは言えません。
デルタのトレーニングで最も重要視していることのひとつが「ワンちゃんに自己決定権を与える」ことです。
人間もそうですが自分で物事を決められない状況というのはとても苦痛です。
働いている人は一度は独立やフリーランスを考えたことがあるのではないでしょうか?
これは上の指示を聞かなければならないことにストレスを感じるためです。
ワンちゃんも同じです。飼い主からこれをやれあれをやれと言われ、褒美(おやつやご飯)が出たり、逆に出なかったら罰が与えられると、色々な行動を覚えることができるでしょう。
しかし、ストレスは間違いなく溜まります。
私たちはご褒美を使ってワンちゃんのトレーニングを行いますが、ワンちゃんがご褒美が出るから、その行動をするのではなく、その行動をした結果ご褒美がでる状態にすることを目的としています。
少し分かりずらいでしょうか?
人で考えると、給料のために仕事をしている人と、自分のやりたいことをやった結果報酬がもらえる人、どちらが幸せでしょうか?という話です。
具体的に私たちのトレーニングでは、極力リード使いません(またはリードで引き戻したりしない)。
これはワンちゃんがそもそも「トレーニングを受けるかどうか」の決定権を与えています。
もしトレーニング苦痛であったり、他に楽しいものがあれば、ワンちゃんはどこかに行ってしまいますが、私たちはそれでよいと考えています。
彼らが自らトレーニングを受けること、受けたくなるようなトレーニングをすることがワンちゃんの幸せには必要不可欠だと考えています。
デルタのトレーニングは「飼い主様」のトレーニングです
私たちはワンちゃんの問題行動は飼い主様が解決すべきだと考えております。
預託(預かってワンちゃんをしつける)はおススメすることがめったにありません。
お預かりしてトレーニングをすることはもちろん可能です。
プロのトレーナーさんがワンちゃんと正しくコミュニケーションをして、彼らがそれを理解すればお互いが快適に日々の生活を過ごすことができるでしょう。
ただ、人間も同じですが環境が変わると行動も変わります。
預けられている間はトレーナーさんからルールのはっきりした指示をうけ、行動に対して決まった結果が得られるので、彼らも行動に迷いがありません。
ただ、自宅に帰ってから飼い主様がトレーナーさんと同じように行動しなければ、行動は当然変わってきます。
寮に入っているときは規則正しい生活をできていた子が、実家に戻ったとたん遅刻や夜更かしをすることがあるように、さぼれる環境、規範のない環境で動物は怠けてしまうものです。
実際トレーニングから戻ってきた直後はすごい良い子だが、しばらくすると元に戻った、というのはこの業界であるあるの話です。
これが愛犬の問題は飼い主様が問題は解決すべきだと考える理由です。
私たちがおススメしているトレーニングは月に1,2回トレーナーさんから”飼い主様”が指導を受ける方法をお勧めしております。
期間が空くことが不安な飼い主様には、メッセージで質問に答えることがデルタでは可能です。
人と犬が共生するトレーニング
デルタでの問題行動の解決手順は以下のようになります。
①飼い主様から問題の詳細を聞く
②なぜワンちゃんがその行動をとるのか推測する
③ワンちゃんの欲求を満たす方法を考える
④もし欲求が満たせない場合は代替行動をワンちゃんに提案する
①、②については難しいことはないと思います。
私たちはワンちゃん達が問題行動をする場合、まずはなぜその行動をとるのか考えます。
例えば「吠える」といった行動には原因が複数考えられます。
・何かが怖くて吠える(通行人、宅配便のお兄さん、他のワンちゃんなど)
・遊びたくてほえる(他のワンちゃん、飼い主様と遊んで欲しいなど)
・何かが欲しくて吠える(ご飯、おやつ、おもちゃなど)
「吠え」と一口に言っても原因は様々で、対応はそれによって真逆だったりします。
前述した従来のトレーニングはこのあたりのことを考えずに「吠え」をやめさせようとしますが、これも人間に置き換えるととても人道的?な方法とはいえません。
赤ちゃんが泣いていたら「おしっこかな?」「お腹が空いたのかな?」「眠いのかな?」とまずは原因を考えることが当たり前だと思います。
そしてそれに対する対応が異なってくることも当然ですよね、、、?
④もし欲求が満たせない場合は代替行動をワンちゃんに提案する
犬を迎え入れる以上、なるべくワンちゃんの欲求を通して欲しいと私たちは考えています。
遊びたいなら遊んであげる、お散歩好きな子であればたくさんお散歩をしてあげる。
一方で、人にも都合があり、ワンちゃんの欲求を全て通し続けることも難しいことも現実です。
リモートワーク中は遊びたくても遊べない、台風の日はお散歩に行けない、来客中はケージに入っていて欲しい、など。
欲求を満たすためにワンちゃんが問題行動を起こす場合は、代替の行動を教えておきます。
例えば遊んで欲しくて吠えることに困っている飼い主様には、遊ぶ前にオスワリやフセをするようにしてもらいます。
こうすると飼い主様と遊んで欲しいときに吠えるのではなく、オスワリしたり伏せたりして待っている子になる可能性があります。
もちろん仕事が終わった後にたくさん遊んで欲しいですが、人にとっての問題は解決すると思います。
人同士の関係でも同様ですが、二人以上の人が同じ空間で生活する場合は、お互いがちょっとずつがまんする必要があります。
人の要望と犬の要望、これらを擦り合わせて、上手に生活できるようにすることが真のドッグトレーニングだと考えています。
さいごに
ここまでデルタのトレーニング方針を書かせて頂きました。
私たちはもちろんこのトレーニング方法が一番良いと信じておススメしておりますが、デメリットもないわけではありません。
ひとつは飼い主様の負担は増えます。
私たちは「もっと散歩に行きましょう」「たくさん遊んであげましょう」「おやつをどこでもあげられるようにしましょう」などとたくさんの飼い主様に提案します。
しかし「飼い主様」であればそれを「負担」と考えず「義務」(楽しみ?表現が難しいです)と考えて欲しいと思っています。
繰り返しになりますが、ワンちゃんは自分からあなたのもとに来たのではありません。
あなたがその子を迎え入れると決めたのです。
ワンちゃんが幸せになって欲しい、心身ともに健康的な生活を送って欲しいという飼い主様に選ばれるトレーニングでありたいと思っています。