2021/12/30
こんにちは。川崎市幸区南加瀬の犬の学校デルタの佐々木です。
ドッグトレーニング、犬のしつけ、どちらもどうも犬の問題行動を解決すると理解されている方が多いと感じています。
でも問題行動の解決とは犬のトレーニングの一部の結果にしかすぎず、私たちはドッグトレーニングを「犬と友達になる方法」だと考えています。それについて詳しく書かせて頂きます。
人と犬は違う動物!そこを認識することが仲良くなるための出発点
人と犬は違う動物です。
形も違う、知能も違う、食事も違う、違うことだらけです。
それでも人と犬は長い期間一緒にいます。
これは考えてみるととても不思議なことです。
あなたの知り合いの中に。言葉が通じない、趣味が違う、仕事が違う、年連が離れている、性別が違う、という人はどれくらいいるでしょうか?
たいていは少なくともどれか一つは共通で、その共通点で知り合いになります。
あなたの知人は学校が同じ、部活が同じ、職場が同じ、住んでいる地域が同じなど、何かしらの共通点があるのではないでしょうか?
人と犬、言葉も違うし、種も違う、こういった動物同士が家族のような関係で生活できるのはなぜでしょう。
ここではその原因を探求することはしませんが、私たちがお互い仲良くなりたいな、と考えたときにその人との共通点や相違点を認識することが大事だと思います。
共通点で知り合いになると言いましたが、さらに仲良くなるには相手と自分の違いを理解する必要もあると思います。
同姓か異性か、仕事は何か、出身は、宗教は、?
こういったことを理解していいないと、うまく付き合うことは難しいでしょう。
では人と犬は何が同じで何が違うのでしょうか?
言葉が通じないということを理解できていますか?
人と犬の違いはたくさんあります。
目から得る情報よりも鼻から得る情報の割合が人より多い。
四足歩行である。
体毛でおおわれている。
あげていったらキリがありませんね。
私が考える一番の違いは「言葉を理解できるかどうか」だと思います。
人同士はコミュニケーションの大部分を言葉に頼っています。
言葉はとても便利で、時間も空間に差があっても情報を伝達でき、かなり細かい情報を伝えることもできます。
一方でその便利さから人は言葉に依存しているとも言えます。
「話せばわかる」「言葉にしなければわからない」「言いたいことはいって欲しい」
人のトラブルの大半は、言葉に関する勘違いや行き違いが多かったりします。
人によっては言葉があるから知性がある、という人もいるくらいです。
でもだからこそ人はつい犬たちにも言葉でコミュニケーションをとろうとしています。
外を歩いていても
「ダメでしょ」
「止まれ!」
「なんでいうこと聞けないの!」
というように犬を𠮟っている飼い主様をよく見かけます。
もちろん彼らとて犬が言葉を理解していると考えている人はいないでしょう。
それでもつい言葉が通じないと愛犬にイライラしたりしてしまいます。
でもこの状況は犬からするとかなりのストレスです。
人間で例えるとホームステイに言った先で言葉はわからないけど、ホストの人がなんか怒ったり、笑ったりしている、何をしゃべっているけど理解できない。こういった状況をストレスに感じない人はかなり強靭な精神の持ち主と言えるでしょう。
通常であれば、自分が好意を持っている人を怒らせたくないですし、喜んでくれたらそれをまたしてあげたいとするものです。
でも言葉が理解できないからそれができない。
ワンちゃん達は常にそういった状況にさらされているのです。
トレーニングとは犬と人のコミュニケーション方法を学ぶ場
ワンちゃんに言葉を学んでもらうのは無理なので、私たち飼い主が犬に歩み寄るしかありません。
犬同士は言葉がない分ボディランゲージでコミュニケーションをとります。
相手をじっとみる→あなたを警戒しているサイン
ゴロンとひっくり返る→攻撃の意思はないよのサイン
お尻を向ける→信頼のサイン
など
こういったことを理解すると、少なくとも犬が何を考えているのか理解できるかもしれません。
ただ、ここにも注意が必要です。
犬の有名なボディランゲージに、嬉しいと尻尾を振るというのがあります。
これは有名なボディランゲージですが、実は正確ではありません。
ワンちゃんというのは興奮すると尻尾を振ることが最近の研究で分かってきました。
なので嬉しいときには確かに尻尾を振るのですが、怒っているときなども尻尾を振ります。
尻尾を振るというのは嬉しいの必要条件であって、十分条件ではないということですね。
また、尻尾のない(短い)犬種もいます。
単純にボディランゲージといっても、状況や犬種、個体などによってばらつきがあるのです。
次は犬に人の気持ちを伝える方法です。
コミュニケーションとは相互に情報のやり取りをすることです。
犬の気持ちがわかったら、次は自分の気持ちを伝える方法も必要です。
犬がボディランゲージを使ってることを話しましたが、人が犬と同じような動きをすればよいのでしょうか?
これは不正解であると考えられています。
実際に人が犬の真似をしてコミュニケーションをとろうとした研究もあるのですが、これはうまくいきませんでした。
尻尾もない、4足歩行でもない、発声する仕組みの違うも人間が犬の真似をしても犬は理解できないのです。
ではどうすればよいか?
それを学ぶことが犬のトレーニングです。
人と犬というのは正しい手法でコミュニケーションがとれれば必ず分かり合えると信じています。
人間同士の問題と同じで、たいていの問題は誤解やきちんと話せていないことが原因です。
しっかり理解しあえばたいていの問題は解決できるはずです。
犬がなぜ吠えるのか、吠えなくするためにどのように人がふるまえばよいのか、それを学ぶことがトレーニングです。
問題行動の解決とは犬のトレーニングのごく一部の結果に過ぎないというのはこういう意味です。
おまけ:犬に助けられている人たち
トレーニングとは犬とコミュニケーションをとり、仲良くするための方法と書かせて頂きましたが、「トレーニングをしなくても私は愛犬と仲良しだよ」という方もいるでしょう(そういったかたはこのHPを見ないと思いますが、、、)。
それは犬があなたに気を使っている可能性があります。
これも人同士の関係でよくみられることですが、一方はお互いを気の合う友人と感じていても、それはもう一方が相手に話を合わせた結果だったりします(男女関係によくありそうですね)。
犬というのはそもそもオオカミの共通の祖先から「人と友好的な個体」が選択されて進化したと言われています。
そのため、種として人と仲良くなる性質があります。
個体差もありますが、生まれつき人の意図を読むことに長けたワンちゃんも多いです。
そういった子は飼い主様が正しい行動をとらなくても、飼い主の気持ちや行動を理解して行動してくれます。
そういった犬を迎えて「私は大丈夫」という方は、まさに相手が合わせていることに気づかず、あの人とは仲がいいと勘違いしている人と言えるでしょう。
実際にトレーニングのご相談に来るかたの中に、前の子ではうまくいったんだけど、、、と相談に来る方が少なくありません。
前の子は特別賢かったので、飼い主様の下手なコミュニケーションを理解してくれたけど、次のワンちゃんはそこまでで賢くはなかったということですね。
今あなたと愛犬の関係が良好だとしても、それは愛犬が賢く気を利かせているからかもしれません。
愛犬にストレスを与えたくないと感じてくださる方はぜひトレーニングを受けて欲しいと考えています。