デルタがしつけやドッグトレーニングで罰や苦痛をいっさい使わない理由 ペットホテル ペットサロン デルタ

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こんにちは。川崎市幸区にある犬の学校デルタのオーナー佐々木です。

デルタではしつけ・ドッグトレーニングにおいて、罰や苦痛を与えたり・叱ることをいっさいしません

なぜデルタがこの方針を採用しているのか。

オーナーのバックグラウンドや倫理観、科学的根拠をもとに説明します。

途中ドッグトレーニングの歴史などにも言及しますが、ちょっと難しい部分もあるので、興味がない方は太字の部分だけ拾い読みしていただければと思います。

 

まず初めにデルタで罰や苦痛・叱ることをしない理由をまとめておきます。

  1. 犬の幸せを第一に考えているから
  2. 犬と飼い主様の関係を最も重視しているから
  3. 科学的に正しいトレーニングだから
  4. 倫理的に正しいと考えているから

項目ごとに詳しく説明していきます。

 

犬の幸せを第一に考えたているから

デルタではしつけやドッグトレーニングにおいて犬の幸せを第一に考えています

しつけやドッグトレーニングというと、吠える、噛むなど、愛犬が飼い主や周囲に迷惑をかけるなどの問題を解決するときに利用されることが多いです。

つまり犬が困っているからというよりも、人の困りごとを解決するためにしつけやドッグトレーニングを使われる方がほとんどです。

もちろんこれらの問題を解決する必要があることは同意します。

しかし、私は人の困りごとを解決するときでさえ、犬の幸せを考慮するべきだと考えています

それはなぜか、ちょっと昔話をします。

私は愛犬デルタが家に初めて来たとき「命が自分の家に来た」と感じました。

自分は子供がまだいませんが、おそらく子供が生まれたときの感覚に近いのではないかと想像しています。

魚やハムスターを子供のころに飼ったことはありましたが、彼らとはコミュニケーションを取っている感覚はありませんでした。

しかし、デルタは私のことを明らかに意識しており、私の動きに反応しており明らかにコミュニケーションが取れています。

このように相手とコミュニケーションが取れる命が家に来たということを、家にデルタが来たときに感じたのを今でもはっきり覚えています。

ありきたりですが、犬というのはしっかり感情のある、一つの命なんだなと実感しました。

しかも私が世話をしてあげないと生きていけない命です。責任と義務感も感じ、デルタの幸せのためにこれからの人生を全力で頑張ろうと思えました

デルタが天寿をまっとうするときに、幸せな犬生だったと、私が感じて送ってあげられる。後悔しないようなお世話をしたいと考えました

デルタを迎えたときのこの感情から、何をするにしてもデルタの幸せを一番に考えることが自分の価値観になりました。

多くの犬のしつけ・トレーニングにおいては、人の問題解決が優先して犬の気持ちが後回しにされていると感じます。

私はデルタが家に来た時の感情から、どんな時でも犬の幸せを最優先に考えようと決めています。

 

犬と飼い主様の関係を最も重視しているから

では犬の幸せとは何でしょうか?

おいしいものを食べること?

旅行にいくこと?

答えは人によって違うでしょう。

私は、どれだけ飼い主と楽しい時間を過ごせたか、だと思っています。

犬を飼っている人ならわかってくれると思いますが、犬は飼い主のことをとてもよく見ています。

たまに私たちの考えていることが分かっているのではないかとびっくりすることもありますよね。

犬は飼い主のことが大好きなので、飼い主のことを始終観察しているのです。

そんな飼い主との関係が壊れることは、犬の幸せと反しています

もし飼い主が罰や苦痛を使ったトレーニングをしていると、飼い主様との関係は悪化します。

私たちだって、もし家族(パートナーや親)がいつも叱ってばかりの人だと、家にいたいとは思わなくなりますよね。

人は家族との関係が悪化しても、学校や会社、その他の楽しみを持つことができます。

しかし犬はありとあらゆる幸せを飼い主からしかもらうことができません

だからこそ、犬の幸せのためにも、罰や苦痛・叱るといった手法は使うべきではないのです。

 

科学的に正しいトレーニングだから

罰や苦痛を使わないしつけ・ドッグトレーニングは、現在では科学的にも正しいと考えられています。

これを説明するために、ここでドッグトレーニングの歴史についてお話するので、興味ないという人はこの節を読み飛ばしてしまってください。

 

人と犬は数万年前から一緒だったと言われています。

当初は同じ集落にいる、くらいの関係で、特定の飼い主が特定のワンちゃんをパートナーとして持つわけではなかったと考えられています。

特定の個人や世帯が犬を家族として迎えるようになったのは、ここ100年くらいで、必然、家庭犬のトレーニングという考えが出てきたのもここ100年くらいです。

犬の歴史と比べてドッグトレーニングの歴史は浅くまだまだ発展途上です

一番古い犬のしつけ・ドッグトレーニングと考えられているものは、1910年代に軍用訓練士のコンラード・モスが広めたものだと言われています。

そしてそれらのトレーニング哲学をもとにして、モンク・オブ・ニュースキートが1970年代に広めたのが、アルファ論に基づいたトレーニング論でした。

「飼い主は犬より上の順位にならなければならない。そのためには犬に飼い主より先にご飯を上げてはいけない、悪いことをしたら口をつかんだり、ひっくり返したりしなければならない」

というトレーニングを聞いたことはありませんか?

飼い主が犬の上位の存在になろうとするトレーニング、これがアルファ論のトレーニングです。

アルファ論がでてくるまで、犬の世界には科学的なトレーニングというものがなかったので、多くのドッグトレーナーがこのトレーニング論に飛びつき、一世を風靡しました。

しかしながら、アルファ論は間違いであることが判明しました。

この理論のもとになった研究に間違いがあり、この研究をした本人が間違いを認めています。

一部のドッグトレーナーがいまだにこのアルファ論トレーニングを実施している話も聞きますが、そういった人たちはもうずっとトレーニングの勉強をせず、最新情報を取り入れようともしない人なので、もしこういったトレーナーさんに出会ったら距離を取ることをお勧めします。

アルファ論のトレーニングの次にブームになったのが、1980年代のポジティブトレーニングです。

イアン・ダンパー、テリー・ライアン、カーレン・プライヤーなどが有名です

これは望ましい行動を増やす、つまり褒めて教える手法であり、前述したようにデルタの採用しているトレーニング手法はこのポジティブトレーニングに含まれます。

ただ、この方法は「犬を自由に育てよう」という間違った解釈をされたことで、効果がないトレーニングとの誤解を受けてしまいました。

そんな誤解を受けている中、犬の「適当な」しつけにカツを入れるべく、登場したのがシーザー・ミランのリーダー論です。

ポジティブトレーニングの一種ではあるのですが、リーダー論ではその名の通り、人は犬のリーダーになるべきと言われています(アルファ論と似た印象をうけるかもしれませんが、アルファとリーダーは違います)。

アメリカでとても有名な方で、テレビなどにも出ており著書が日本語訳もされているので、名前を知っている方もいるのではないでしょうか。

私もシーザー・ミランのテレビを見たり、本を読んだことがあるのですが「自分にはまねできない」と感じました。

手法が難しいから、というわけではなく、科学的ではなかったからです。

どういうことか。シーザー・ミランは犬のリーダーになる際に「オーラを出す」というような表現をします。

でもオーラの出し方は書いいません。

シーザー・ミランが出ているテレビを見てみると、彼はとても上手に犬たちをしつけており、たくさんの問題を解決した実績もあるので、彼の実力に疑問の余地はないでしょう。

ただ彼以外の人が彼のトレーニングを実践できるかというと、難しいと考えます。

おそらくシーザー・ミラン自身にもわからない、ちょっとした動作や所作が犬たちに良い学習をさせているのだと思うのですが、それが言語化できない限り、飼い主がリーダー論にのっとったトレーニング実施することは難しいと言えます。

リーダー論には2000年代にアメリカの生物学者のレイモンド・コッピンジャー博士、イギリスのドッグトレーナーであるバリー・イートン、同じくイギリスのプリオストル大学獣医学部のジョン・W・S・ブラッドショーが疑問を投げかけており、その真偽や科学的な根拠、実用に関しては、今も議論されています。

ドッグトレーニングの歴史を駆け足で書きましたが、ここで大事なのは

  • 犬より人が上位にならなければならないトレーニングは間違っている
  • ドッグトレーニングは日々進歩している
  • 現代はポジティブトレーニングが主流になっている

ということです。

 

倫理的に正しいと考えているから

次にドッグトレーニングを倫理的な側面から考えてみましょう。

例えば、科学的に正しくても倫理的に間違っている事例はたくさんあります。

(原子爆弾、ねずみ講、化学兵器、、、これらは科学的に間違ったものではりませんが、倫理的に使うことが禁止されています)

ドッグトレーニングにおいても、罰を与えることは正の弱化という、オペラント条件付けをもとにした学習過程で、科学的に間違いではありません。

しかしながら、犬の知能は人間でいうと2-3歳ほどと言われています、3歳くらいの子供に、罰や苦痛を使ってしつけをしていたら、現代の日本なら間違いなく虐待で通報されるでしょう。

同じ事を犬に対してだけ行うことが倫理的だとは思えません。

私は、犬のしつけを行う際に、どういった手法を用いればよいか迷うときがありますが、指標として3歳くらいの子供に同じことをしても倫理的か考えるようにしています

 

さいごに

世の中には色々なトレーナーさんがいます。

多くのトレーナーさんの手法は科学的に間違いっているわけではありません(間違った手法を使っている人もいますが、、、)。

そんな中であなたがどういったトレーニング手法を用いるかは、あなたの主義主張倫理観によります。

そのトレーナーさんの使っている手法だけでなく、なぜ、どういった目的・倫理観ででその手法を採用しているのかを聞くこともトレーナーさん選びでは重要です。

これは人間の子供の教育でも同じだと思います。

いい大学に行って、いい会社に勤めることが人生で一番大事だと考えている親は、子供を小さいころから学習塾に通わせます。

一方で、学歴は高くなくてよいから、芸術面での才能を開花させたいと考えれば、いろいろなお稽古事をさせるでしょう。

どちらが正しいということはなく、親が子供にどういったことを望んでいるかです。

もし愛犬に対して、彼らの幸せを一番に考え、叱ったり罰を使わずに、しつけやトレーニングをしたいと考えている方は、ぜひデルタにご相談ください。

犬の学校デルタHP

 

参考図書:

ドッグ・トレーナーに必要な「複数の犬を同時に扱う」テクニック: 犬の群れとリーダーシップについての深まる謎を解く!


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