2022/01/24
こんにちは。川崎市幸区小倉にあるペットホテル&サロン デルタのオーナー佐々木です。
トリマーとして長年働いているけれど、給料があがらない、上がる見込みもない。
将来が不安でトリマーを続けてよいのか迷っているという方に向けて、なぜ給与が上がらないのかと、そこから抜け出す方法をお教えします。
トリマーの給与はなぜ低いのか
トリマーの給与は本当に低い?
このサイトによると、関東でのアルバイトの平均時給は以下のようになります。
関東圏のアルバイトの平均時給 | ||
全体平均 | 1408 | 円 |
販売・接客・サービス | 1279 | 円 |
飲食・フード | 1243 | 円 |
ファッション・アパレル | 1323 | 円 |
オフィスワーク・事務 | 1548 | 円 |
IT・クリエイティブ | 2504 | 円 |
教育・保育 | 1455 | 円 |
医療・介護・福祉 | 1467 | 円 |
営業 | 1779 | 円 |
ヘルス・ビューティー | 1211 | 円 |
これらと比べてトリマーさんの給与はどうかというと、新卒はほぼ最低賃金(時給1162円、月給20万円程度)。一人前のトリマーでも時給換算すると1300-1400円ほどが多いように見受けられます(2025年1月)。
ざっくりとですが、平均時給は1300円ほどになるのではないでしょうか?
(トリマーの求人サイトで有名なトリマージェーピーでは「1500円以上」が高額時給と位置付けられている)
それを踏まえて、他業種を見てみると、[販売・接客・サービス(1279円)]や[飲食・フード(1243円)]などとあまり変わりありません。
トリマーが技術職であることを考慮するとあきらかに賃金が少ないです。
なぜ賃金が低いのか?
以下の3つの理由があります。
①経営者の問題
②トリマーさんの問題
③お客様の問題
①経営者の問題
トリマーさんの賃金の低い一番の原因は経営者のスキル不足です。
いうまでもなく、お店が上手くいくかどうかは経営者にかかっています。
お店のブランディング、マーケティング、社員教育、組織体制の構築などなど
これらのことを複合的に考えてお店を運営するのが経営者の仕事ですが、これが下手だと。
・利益が出ない
→たくさん稼ごうとして、お客さんを無理やり取る
→忙しく、休憩や休みがまともに取れない、サビ残になる、社会保険に入れなくなる
→いつもいっぱいいっぱいで回しているから、社員教育ができずスタッフのスキル向上がなく給与があがらない
といったサロンさんをたくさん見てきました。
ちなみにこういったお店はオーナーさん自身がトリマーであるケースが多く感じます。
なぜでしょうか?
開業するトリマーさんは、トリミングは一流の場合が多いですが、経営を勉強せずに開業してしまうケースが多いためだと考えます。
「お店で働いていると、自分の売上の半分以下の給与しかもらえない、これなら開業した方が絶対良い」と考える方です。
この時点ですでに経営について分かっていないのですが、そもそもそういうことを知る機会がなかったので同情の余地はあります。
お店を経営する際には、備品やシャンプーなどを買うだけでなく、家賃、通信費、広告費、クレジットの手数料、社会保険料の支払いなど、様々なお金と労力が必要になります。また、クレーム処理や税金の計算なども管理者が行っています。
経営者の仕事をしらないと、開業して初めてそういったお金と業務に気づきます。
確かに売り上げは自分の手元に入ってくる、でも思った以上に費用がかかり、またトリミング以外の仕事もしなければならない。
そういったお店が、従業員が社会保険に入れなかったり、有給がない、休憩が少ないなど、従業員にとっても、犬にとってもブラックな職場となってしまいます。
このように、
「低賃金だから独立」→「独立した人のお店が低賃金」→「そのスタッフが独立」→・・・
と言った負のループが起こってしまっているのがトリマー業界の低賃金化の理由のひとつでもあります。
②トリマーさんの問題
さてペット業界の問題は一番は経営者によるものであることは間違いありませんが、トリマーさんたちもそれを増長させてしまっている一面があると考えます。
それは、そういったブラックなお店で働き続けるトリマーさんがいることです。
経営者側の視点で考えてみましょう。
経営がきついから、本来入らなければならない社会保険を無くし、休憩も少なくし、残業代も出さない、犬も詰め込む、職場環境として良くないことは理解しています。
でも働いてくれるトリマーさんがいる、となったら「しょうがない」と状況を享受してしまうでしょう。
トリマーさんの中には、そういったブラックな職場でも、「経験のため」「今いるお客さん(またはスタッフ)がかわいそう」「ここを辞めて新しい職があるか分からない」などなどの理由から、働き続けてしまいます。
しかしながら、そういったお店で働いているトリマーさんがいることが、そのお店を存続させ、最終的に業界の低賃金化の手助けをしているのです。
③お客様の問題
これは店側としてはあまり考えてはいけないかもしれませんが、やはりお客様側にお店を見る目がないことも原因のひとつです。
お客様側がお店を見る目を養い、正しい経営をしているお店を選べるようになれば、良いお店が増えるはずです。
トリマーとして給与を上げる方法
さてでは給与を上げるにはどうすればよいでしょうか?
良い経営者のいる店舗に転職する
良い経営者を判断するのが難しいと思いますか?
簡単です。待遇の良いお店は経営者がよいです。
・給与が高い
・社会保険に入れる
・有給がとれる
・契約書を書面でくれる
・契約内容と実際の業務に差異がない
こういったお店を選びましょう。
繰り返しますが、こういったことが守れていないお店で働くことは、あなたが辛い思いをするだけではなく、そういったお店を手助けしていることになります。
もし上記ことが守れていないお店があったらすぐに転職しましょう。
現在はトリマーさんは不足しています。
働き口が無くなるということはありえません。
この業界、ブラックなお店が少なくはないですが、しっかり法律にのっとり、”正しく”経営をしているお店もあるので頑張って探しましょう。
どういったお店に転職してよいかは参考:いい転職先はどうやって探せばよい?を参考にしてください。
自分で転職活動をする
転職活動についても大事なことがあります。
それはエージェントをなるべく使わないようにしてください。
エージェントを使うなと行っているわけではなく、自分でも探す努力をしましょう、ということです。
エージェントはとても便利なサービスですが、頼ってばかりだとお店を見る目が養えません。
自分で申し込んできた人というのは、
・社会保険にはしっかり入れるか
・サビ残はないか
・キャリアパスは描けるか
・社内の雰囲気は?
・業務内容はしっかり決まっているか
など聞きづらいだろうことをズバズバしっかり聞いてきます。
それに対してエージェントで来る人というのは、あまり質問をしてこず、こちらが心配になるほどです。
転職は、人生の重要なイベントです。
任せっきりにするのではなく、自身でも動きましょう。
自身が経営者になる(経営について勉強する)
これは誰にでもおススメできるわけではありませんが、開業することで給与をあげることはできます。
ただ前述したように経営の勉強をせずに開業してはいけません。
今働いているお店で店長としての仕事を引き受けたり、当店でもやっていますが、開業を支援してくれるサービスを使いましょう。
もしやる気がある人は私に相談してください。
参考:キャリアを考えた転職
さいごに
これまでトリマー業界の問題点およびその解決策について書いてきました。
言うまでもないと思いますが、これらはあなたがトリマーとしてそれなりの技術を持っていることが前提です。
・入社直後からシャンプーしかしておらず、3年目になってもカットがまともにできない
・いまだに直されてばかり
・最近の流行りのカットが分からない
こういった人は、残念ながら”ちゃんとしたお店”には就職できないかもしれません。
経営者が優秀なお店というのは、運営状況、給与、待遇、職場環境、客層などが良いため、求職者が自然と集まります。
売り手市場のこの業界とはいえ、良いお店に就職したいのであれば、それなりの技術を身につけなければならないのは、どの業界でも一緒です。
デルタの求人
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